今日のお目当ては「御室桜」京都で一番遅く咲く桜である 嵐電に乗って帷子ノ辻から御室仁和寺へ 駅の前に仁王門が見える その仁王門から中門に入ると左手に御室桜が目に飛んでくる 染井吉野より一週間から十日前後遅く咲く 品種は大半が有明 他には車返し 欝金(うこん)など十数種類の里桜がある 現在のものは江戸時代に植えられたもので200本余り植えられている
仁和寺は吉田兼好で有名だがここには御所がおかれていた 仁和4(888)年に創建された寺院 現在は真言宗御室派の総本山である 宇多天皇の御所となり御室御所と呼ばれた またここには四国八十八か所に参れない人のために2時間で回れる札場があるのも面白い
御室桜は樹高が低い 何故か?土が悪く根付かないためである 桜が密集しているのも珍しい 拝観料500円 実はここは2回生の時の下宿先の近くであった 時々歩いて来ていたのだがその時は御室桜はそんなに有名ではなかった 仁和寺=徒然草=吉田兼好(仁和寺の近くの双ヶ丘近くに住んでいたようだ) 大きいお寺だなという印象は覚えている 徒然草は随筆であるが教訓も多い その中で有名な教訓がある 「分からないことは他人に聞いたことが良いという教訓」である 今にも通じる
「仁和寺にいたある僧(自分のことではない)は老年になるまで石清水八幡宮を参拝した事が無かった そこで我ながら情けないと思ってある時一大決心してたった一人徒歩で参拝に出掛けた ところがこの僧は極楽寺・高良神社を拝むと八幡宮はこれで全部だと思いこんで[目的である山上の八幡宮を拝まずに]帰ってしまった そして同僚に向かって「長年心にかけていた参拝を果たしました 八幡宮は噂で聞いた以上に荘厳な境内でした それにしても参詣者が皆山へ登ったのは何があったのでしょうか 知りたかったのですが八幡宮の参拝が目的でしたから山上には登りませんでした」ときまじめな顔で話したという ちょっとしたことでも案内者のいたほうが大失敗を避けることが出来るものだ」という教訓である 昔も今も変わらない